Introduction - 研究概要

領域の立ち上げの背景

IT技術の発展に伴う今後の情報処理量の増大に対応するためには、情報処理システムの更なる高速化、低消費電力化が必要不可欠である。しかしながら、半導体デバイスの寸法がナノメータサイズに微細化された今、消費電力(発熱)や配線遅延の増大など数々の問題が指摘されている。したがって、配線も含めて本質的に高速・低消費電力なデバイス・回路方式があればそれを採用し、抜本的にこれらの問題を解決する必要がある。 IT技術の発展に伴う今後の指数関数的な情報処理量音増大に対応するためには、情報処理システムの更なる高速化、高機能化、低消費電力化が必要不可欠である。

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本特定領域の目的と内容

ピコ秒幅の微小電圧パルスを情報担体とする単一磁束量子回路は、ゲートのスイッチングエネルギーが極めて小さく、動作速度も高速であるため、半導体回路を凌駕する優れた性能を持つ。また、超伝導導波路において局在電磁波パルスは、形を変えずに弾道的に伝播し、単一磁束量子回路を柔軟かつ高スループットで配線することが可能である。本特定研究領域では、将来の100GHzを超えるサブテラヘルツ集積回路分野の確立に向け、局在電磁波配線技術を前面に据えた単一磁束量子集積回路の研究を、回路原理からデバイス技術、設計技術、回路応用まで総合的に推進する。

本領域では、単一磁束量子集積回路技術の確立に向け、材料的課題、物理的課題、情報工学的課題を系統的に研究する。材料的課題としては、超伝導エネルギーギャップで制限される速度限界を打ち破る新材料の導入を図る。物理的課題では、サブテラヘルツ周波数で動作する回路の量子的速度限界を明らかにする。情報工学的課題については、柔軟な配線を利用した集積回路の設計方法の確立を目指す。

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期待される成果

単一磁束量子集積回路技術は、機能性に優れた半導体集積回路と高スループット性に優れたフォトニック集積回路の両者の特徴を持ち、これらの中間に位置する第三の極としての発展が期待される。これにより将来求められる超ペタフロップス級のスーパーコンピュータやハイエンドルータの構築が可能となり、情報通信分野における我国の技術基盤を格段に発展させることができる。

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