微小超伝導接合デバイスにおける量子状態の解明と制御

工学研究院 准教授 島津佳弘

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微小超伝導接合(ジョセフソン接合)を含む超伝導回路は、人工的に作られる量子系となり、試料のパラメータを変えることでエネルギーレベルを制御することができます。4個のジョセフソン接合を含む回路素子で、エネルギーレベルを制御電流によって変化させることができることを実証しました。上図は、基底状態のエネルギーレベルと、第1、第2、第3励起状態のエネルギーレベルの間隔(エネルギーギャップ)の実験結果と計算結果(点線)で、横軸が制御電流を表します。

 

2個の量子状態からなる量子系では、エネルギー間隔に共鳴するマイクロ波の印加によって2状態間での量子力学的振動が起こり、これをラビ振動とよびます。上図は、3個のジョセフソン接合を含むループ状の回路(磁束量子ビットデバイス)におけるラビ振動の測定結果です。このような素子は、量子力学的にふるまい、マイクロ波パルスによって量子状態を制御できるので、量子コンピュータの基本素子である量子ビットとして応用できるものと考えられます。

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